サイトリニューアルにおけるシステム設計・開発のポイント(非エンジニア向け)

ウェブサイトのリニューアルは主に、経営者もしくはマーケティング担当者によって企画、実行されることが多いのではないでしょうか?その担当者にとってシステム設計は、日常の業務とは距離があり、理解しづらいものです。しかし、サイトにおけるシステムの設計はUXに深い影響を与えるため、一定の理解は必要不可欠です。

この記事では、非エンジニア向けに、システム設計がどのようにサイトに影響するのか、その項目の理解と、そのステップを紹介し、理解を深められるよう情報を提供します。

対象の方マーケティングで実行したい効果をシステムで実現する方法を理解し、エンジニアとともに、効果の高いサイト構築と運用の実現にお役立てください。

目次

Webサイトにおけるシステム要素の紹介

システム設計における専門用語が出てくる前に、まずは、どのような機能がサイトでシステムとして活用されているのかをご紹介します。日常の様々なサイトでユーザーとして利用する機会がある項目だと思いますので、まずは、システムってこういうところで機能しているのだというイメージを持って感じてみてください。まずは、システムやエンジニアリングに対する拒否感を取り除くことからスタートしましょう。

Webサイトにおいて、システムとして開発、運用されることが多い項目は以下の通りです。

  1. コンテンツ管理システム(CMS): サイトのコンテンツを効率的に管理するためのシステムです。WordPressなどが代表的です。ブログなどを開設したことがある方なら一度は見聞きしたこともあるのではないでしょうか?
  2. データベースシステム: ユーザー情報や商品情報など、サイトが必要とするデータを管理するシステムです。
  3. ユーザーアカウント管理システム: ユーザーの登録、ログイン、パスワードリセットなどを行うシステムです。ECサイトであれ、SNSであれアカウントを管理するマイページなどを利用することは多いのではないでしょうか?
  4. ショッピングカートシステム: ECサイトでは、商品を選び、購入までのプロセスを管理するシステムが必要となります。
  5. ペイメントゲートウェイ: クレジットカード情報などの決済情報を安全に処理するシステムです。
  6. 電子メールシステム: ユーザーへの通知やマーケティングメールを送信するシステムです。
  7. アナリティクスシステム: サイトのトラフィックやユーザー行動を分析するためのシステムです。Google Analyticsが一般的です。
  8. データバックアップシステム: データの損失を防ぐため、定期的にデータをバックアップするシステムです。
  9. セキュリティシステム: サイトをハッキングや不正アクセスから保護するシステムです。
  10. API: サードパーティサービスとの連携を可能にするシステムです。例えば、ソーシャルログイン機能や地図表示など。

これらは一部の例であり、開発・運用が必要なシステムは、サイトの目的や規模、必要な機能により変わることがあります。意外と触れたことのあるシステムは多いのではないでしょうか?次のセクションでは具体的に上記のような各システムの設計を行う際に何を行うのか、その具体的なステップをご紹介します。

システム設計とは具体的に何をするか?

この章では具体的なシステムがどのようなフローで実現するのか、一般的なステップをご紹介します。各システムが実現するまでにどのような考え方の変遷を経るのかを理解し、自身のサイトに反映したいシステムに置き換えてイメージしてみてください。

要件分析

まず、システムが達成するべき目標を理解するために、ビジネス要件やユーザー要件を詳細に分析します。これは「何を解決するのか」を明確にするステップです。
例えば、継続的にユーザーとコミュニケーションをとりたいとなれば、会員システムを実装し、登録を促し、登録車に継続的に情報発信するシステムを検討する必要があります。

システムのアーキテクチャ設計

次に、システム全体の構造を考えます。どのような技術スタックを使用するのか、どのようなサービスやコンポーネントが必要なのか、それらがどのように連携するのかなどを決定します。
こちらも、継続的にユーザーとコミュニケーションをとる例です、アーキテクチャとしてMA(マーケティングオートメーション)ツールをシステムとして活用するということも考えられますし、メールマーケティングのみ実現できれば良いと考えるのなら、メール配信ツールとの連携を実現することを考える方が良いかもしれません。このように、どのような機能のコンポーネントが必要なのかとその連携を考えることが本ステップの重要なポイントです。
また、利用する技術により必要となるリソースも変わってきます。サイトは継続的に運用されるもののため、長期にわたってリソースが確保できると考えられる技術選定も検討しておく必要があります。

詳細設計

具体的な機能や部分の設計に移ります。これは各コンポーネントがどのように動作するか、どのようなインターフェースを持つべきかなどを定義します。
メールマーケティングの機能の実装を例にすると、メールの配信手法がどのような形式が相応しいか、また、その実現方法とその機能を実行するためのUIをどのように落とし込んでいくかといったより具体的なステップがこのステップになります。大枠の設計が正しくとも、詳細設計に不備があると、企図した機能が実現されないなどのトラブルになるため、細部まで細かく想定する必要があります。

テスト計画

設計が完了したら、そのシステムが正しく機能することを確認するためのテスト計画を立てます。これはバグの早期発見や品質の確保に不可欠です。

設計のレビューと改良

最後に、設計を見直し、必要に応じて改良します。これは継続的なプロセスであり、新たな要件が出てきたり、技術が進化したりすると、設計を更新する必要があります。
このPDCAを繰り返すことが設計の精度を上がることになります。しかし、あまりに要件を足しすぎると実現が難しくなるため、我々は、制約条件の中で一定のルールをもって改良を進めることをお勧めしています。

以上が設計におけるステップです。例魔なども踏まえてご紹介しましたが、自社のサイトの機能としてイメージができたでしょうか?
具体的な設計作業はエンジニアが中心として実行されますが、非エンジニアの担当者はアウトラインを理解し、ビジネス、マーケティング効果に寄与できるかどうかを見極めながらその機能が必要有無を判断していきましょう。
次のセクションは具体的なシステムの要素が生むマーケティング効果を紹介していきます。効果をイメージしながら設計を進行するための手助けとして理解してみてください。

システムがマーケティングに及ぼす効果

システム要素マーケティング効果の例
パフォーマンスページのローディング速度が速ければ、ユーザーエクスペリエンス(UX)が向上し、バウンス率が下がる可能性があります。
ユーザビリティシステムが複雑すぎると、ユーザーはサイトの使い方を理解するのに時間がかかり、UXが低下します。
アクセシビリティ例えば、スクリーンリーダー対応を含むシステム設計は、視覚障害のあるユーザーでもサイトを利用可能にします。
セキュリティSSL/TLSを含むセキュリティ強化のシステム設計は、ユーザーからの信頼を得るために重要です。
レスポンシブデザインシステムがデバイスごとの表示を最適化していれば、ユーザーはどのデバイスからでも同等のUXを体験できます。
SEOシステムがメタデータの最適化や構造化データの実装をサポートしていると、サイトの検索エンジンのランキングが改善します。
データ管理ユーザー情報の管理やアナリティクスの統合など、データ管理機能を持つシステムはマーケティング活動を大いに支援します。
マルチリンガル対応システムが複数言語をサポートしていると、より広いユーザーベースにサービスを提供できます。
更新性システム設計がコンテンツの迅速な更新を可能にすれば、最新の情報をユーザーに提供し続けることが可能になります。
メンテナンス性うまく設計されたシステムはエラーや問題が発生した場合のトラブルシューティングを容易にし、サイトのダウンタイムを最小限に抑えます。
拡張性ビジネスが成長するにつれて新たな機能を追加したり、ユーザー数が増えたときに対応できるようにシステムがスケーラブルであると有用です。

この表は一例ではあります。サイトの要件によっては表以外の考慮するポイントがあるかもしれません。サイトの目的によってどのようシステム要素を強め、取り込んでいく必要があるかを見極めてください。

まとめ

サイトリニューアルにおけるシステム設計は、UXに直接関連し、マーケティングの成果につながってきます。マーケターとしては、エンジニアと連携しながら、システム設計がビジネス要件とユーザーニーズを適切に反映するように努める必要があります。

正しい設計により、ユーザーに価値のある体験を提供しビジネス目標の達成を実現をめざしましょう。

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