Webサイトを運営するための費用と相場とは?

通常、Webサイトは新たに構築またはリニューアルされ、公開されるだけでは、ビジネス上の目標を達成することはめったにありません。実際には、サイトを改善し成長させ、目標に近づけるために中長期的な運用が必要です。しかし、このような運用には運営や管理にかかるコストが必要です。

この記事では、サイトを運用・管理するために不可欠な費用について詳しく説明し、無駄なコストを回避するための情報を提供します。特に、サイトの新規構築やリニューアル時に見落とされがちな後の管理コストを意識しながら計画を立てることで、Webマーケティングの施策を成功に導きましょう。

Webサイトの運用費用とは?

Webサイトを維持するには多用は費用が発生しますが、今回はサイトを現状のまま維持する費用として「管理費用」とサイトを修正、改善していく主にコンテンツ部分やUI、機能改修が含まれる「運用費用」の二つの費用に分けてその内容と費用対効果改善のポイントをご紹介します。

もちろん費用によっては管理費用と運用費用の両方に属する費用もありますので大まかな分類として理解いただければと思います。

目次

管理費用のおもな項目

Webサイトの管理費用はサイトを維持するための費用と定義しましたが、この費用は以下のような要素から構成されます。

サーバーのレンタル費用

Webサイトはインターネット上でアクセス可能であるため、サーバーを利用してホストする必要があります。サーバーのレンタル費用は、Webサイトのデータやファイルを保管し、ユーザーがアクセスできるようにするために必要です。

サーバーの監視、トラブル対応

Webサイトは24時間稼働し続ける必要があります。サーバーの監視とトラブル対応に費用をかけることで、サーバーの安定性を維持し、障害や問題が発生した場合に迅速かつ適切に対応することができます。

サーバーのセキュリティ費用

Webサイトには重要な情報や個人データが含まれることがあります。セキュリティ費用をかけることで、不正アクセスやデータ漏洩などのリスクを低減し、Webサイトと利用者の情報を守ることができます。

ドメイン費用

Webサイトを識別するためのドメイン(アドレス)を取得し維持するためには、ドメイン費用が必要です。ドメインはWebサイトのアクセス先を示す重要な要素であり、独自のドメインを持つことはサイト運用では不可欠です。

SSL費用

SSL証明書はWebサイトのセキュリティを向上させ、安全な通信を提供します。SSL費用は、SSL証明書の取得や更新にかかる費用を指します。SSLを導入することで、Webサイトの信頼性を高め、ユーザーの個人情報や取引データを保護することができます。

CMSなどのツール費用とメンテナンス費用

商用のコンテンツ管理システム(CMS)やノーコードのサイト制作ツールを利用している場合はプランによって利用料が必要になる場合があります。また固定費の係らないオープンソースといわれるソフトウェアを構成しているプログラム「ソースコード」を、無償で一般公開されているツールを使用する場合でも、定期的なアップデートやバグ修正、カスタマイズが必要となります。これにはや開発者の費用が含まれます。ツールのメンテナンスを適切に行うことで、Webサイトの機能性やパフォーマンスを維持し、利用者に良い体験を提供することができます。

外部システムとの連携

Webサイトが外部システムと連携してデータのやり取りや機能の提供を行う場合、連携費用が発生することがあります。外部システムとの連携にはAPI利用料金やカスタム開発の費用が含まれます。

以上のように、Webサイトの管理費用は、サーバーのレンタルや監視、セキュリティ対策、ドメインやSSLの取得、CMSや外部システムとの連携など、円滑な運営と成果を上げるために必要な費用です。適切な予算化とコスト管理を行い、Webサイトの安全性、信頼性、パフォーマンスの向上に取り組みましょう。

運用費用のおもな項目

運用費用はサイトを修正・改善していく費用と定義しましたが、主な費用は以下のような項目で構成されます。

コンテンツ追加・更新費用

ウェブサイトのコンテンツは定期的に追加や更新が必要です。新しい記事や商品情報の追加、イベントの告知など、コンテンツを鮮度の高い状態に保つためには、ライターやデザイナーなどの専門家の費用がかかる場合があります。

トラブル対応費用

ウェブサイトが障害や問題に見舞われた場合、修復や対応が必要です。これには技術者やサポートスタッフの費用が含まれます。例えば、サイトのダウンタイムやエラーメッセージの解決、データベースの修復などが含まれます。

アクセス解析費用

ウェブサイトの成果やユーザー行動の分析は重要な活動です。アクセス解析ツールの導入やデータの分析に関わる費用が必要です。これにより、トラフィックの状況やユーザーの行動パターンを把握し、改善のための施策を立てることができます。

コンサルティング費用

ウェブサイトの運営やマーケティング戦略に関するアドバイスやコンサルティングを受ける場合、コンサルタントの費用が発生します。専門家の助言を得ることで、効果的なウェブサイト戦略を立案し、成果を最大化することができます。

問い合わせ対応

ウェブサイト上の問い合わせフォームやお問い合わせメールへの返信や対応には、カスタマーサポートスタッフや管理者の時間と労力が必要です。顧客からの問い合わせや要望に迅速かつ丁寧に対応することは、顧客満足度の向上につながります。

運用・管理費用の相場

一言で運用管理費といってもどのツールを利用するのか、どの程度までケアするかによって費用は大きく異なります。そのため今回は10年以上にわたったコンサルティングをしてきた中でよく取り入れられた項目と費用をもとに一覧としてまとめます。

サイト管理の費用相場

費用項目利用するツール、プラン例費用形態相場費用備考
サーバーのレンタル費用共用サーバー月額課金または従量課金数百円~/月小規模サイトでは数百円程度の共用サーバーが良く利用される。
共用サーバーなのでOSのアップデートなどが対応してくれるため個別の対応の必要はない点も魅力
クラウドサーバー基本は従量課金数百円~/月自由度が高いため初期構築コストが必要になるが、基本が従量課金形態のため安価で収まる傾向が高い
サーバーの監視、トラブル対応ツールを利用しての監視基本は月額課金が多い数千円~/月サーバーが起動しているかどうかの死活監視を行い、サーバーがダウンした場合はメールのみで通知が来るといった簡易な監視であれば安価で提供されています。
有人監視(営業時間のみ)基本は月額課金が多い5万円~/月ツールだけではなく人がサーバーを監視し、問題発覚時には指定の連絡や対応を行うプランです。
サーバー停止が許されないサービスを運営している場合は用いられる場合が多いプランです。
有人監視(24時間365日)基本は月額課金が多い15万円~/月有人監視を24時間365日対応するパターンです。
社会インフラとして機能しているサイトダウンすることが許されないサイトが契約しているケースが多いプランです。
サーバーのセキュリティ費用ツール導入月額課金各種ツールごとに数百円~/月共用サーバーであればオプションとしてWAF、IDS、IPS、Web改ざん検知などのサービスを用意していることが多い
クラウドサーバーでもオプションとして用意あるため、WAF、IDS、IPS、Web改ざん検知自身で選んで設定が可能(クラウドサーバーの場合は従量課金のツールが多い)
ドメイン費用ドメイン販売会社と契約年額などの期間契約数百円~/年サーバー会社がサーバーとあわせて提供しているため同時に契約するケースも多い。
SSL費用SSL認証企業と契約または、サーバー管理会社と併せて契約年額固定無料~/年
3万円~/年
無料SSLも近年増えている。サーバー会社がサービスとして導入している場合もあるためサーバー契約の際に確認しておくとよい
企業認証SSL(ドメインと企業の実在性を認証しSSL暗号化通信を実現するもの)だと3万円~/年
CMSなどのツール費用とメンテナンス費用バージョンアップデート都度見積もり数万~/回オープンソースを利用している場合でそのシステムの脆弱性に対応するようなアップデートが発生した場合に行うことが多い
アップデート作業そのものを外注すると費用が発生する。付帯作業としてアップデート後のサイト確認作業は必ず発生することからその費用も見積もっておく必要がある。
アップデート後にトラブルが発生した場合は、システムの切り戻し作業や再検証に費用が発生するため対応方法は慎重に検討する必要がある。
外部システムとの連携ツールと契約月額課金または従量課金ツールによる外部の広告配信ツールや顧客接客ツールといった様々なツールが想定される。

サイト運用費用の相場

費用項目利用するツール、プラン例費用形態相場費用備考
コンテンツ追加・更新費用外注月定額もしくは作業項目ごとに単価を設ける
または、都度見積もり
数千円~/月
数千円~/回
コンテンツの更新を内部で対応する場合に費用は必要ないが外部パートナーに依頼する場合はコストが発生する。
トラブル対応費用外注都度見積もり数千円~/回
アクセス解析費用ツール月額数千円~/月
外注月額数万円~/月初期に設定した確認項目に対したレポーティングと提案であれば数万円~対応している企業がおおい
大規模サイトに対応する場合やSEOなどといった専門知識に対応する解析提案については高価になる傾向がある。
問い合わせ対応外注月額課金または従量課金数万円~/月問い合わせ対応をアウトソースする場合は大規模サイトが多いと思われるがその場合、月数件まで固定額、それ以上の問い合わせ対応については従量課金といった組み合わせた契約になることもある。

各項目と利用ツールについてのよくあるケースにおいての費用相場をご紹介しました。

もちろん、サイトの規模や重要視する項目によって大きく費用が変わりますのであくまで参考としていただければ幸いです。

また、一覧では自身のサイトがどの項目を利用する必要があるかわからないという方向けに、予算と配慮するポイントごとに分類した管理費用の組み合わせのプランをご紹介します。

管理費用の見積もり例

以下に月の予算規模とどの項目に投資するかにあわせて、平均的なプランを作成してみましたので、自社の予算と志向にあわせて参考にしてみてください。

月5千円以下

最も安価に済まそうとする場合のお見積り
フリーランスなどの個人サイトや小規模法人のコーポレートサイト程度であればこのプランを選択される場合も多い

見積もり項目使用するサービス単位単価
サーバーレンタル費用共用サーバー500
サーバーの監視、トラブル対応サーバー会社からの通知を確認0
サーバーのセキュリティ費用無料の脆弱性診断0
ドメイン費用ドメイン販売会社と契約500
SSL費用無料の独自SSLを利用0
CMSなどのツール費用とメンテナンス費用使用せずまたはCMSはオープンソース0

合計 600円程度/月

メリット:

とりあえず安い

デメリット:

サーバーの安定性は最も低くなる。運用更新費を見込んでいないことからサイトの更新は考慮することが難しい。イレギュラーの更新やトラブル対応が見込んでいないため、対応時には別途予算が必要となる。

月1万円以下

少しサーバーやセキュリティの安定を担保したい、コンテンツ運用は自社でしたい場合
小中規模法人のコーポレートサイトや、閲覧数のそれほど多くない場合に選択されるプランと思われる。

見積もり項目使用するサービス単位単価
サーバーレンタル費用クラウドサーバー2500※1
サーバーの監視、トラブル対応サーバー会社からの通知を確認0
サーバーのセキュリティ費用WAF、Web改ざん検知を利用2500※2
ドメイン費用ドメイン販売会社と契約5000※3
SSL費用SSL認証企業と契約30000
CMSなどのツール費用とメンテナンス費用使用せずまたはCMSはオープンソース0

※1参考価格(本来は従量課金のためトラフィックと転送容量による

※2参考価格(本来は従量課金のためトラフィックと転送容量、ページ数による

※3.co.jpドメインの場合を想定

合計 8,000円程度/月

メリット:それなりに安価、ある一定のセキュリティは担保できる

デメリット:運用更新費を見込んでいないことからサイトの更新は考慮することが難しい。イレギュラーの更新やトラブル対応が見込んでいないため、対応時には別途予算が必要となる。

月5万円以下

一定の安定性は担保しつつ、毎月のコンテンツ更新はアウトソースで行いたい場合
1万円のプランにコンテンツの運用を追加したプラン一定のユーザーがいる小さめのサービスサイトやコーポレートサイトに選択されるケースが多いプラン。

見積もり項目使用するサービス単位単価
サーバーレンタル費用クラウドサーバー2500※1
サーバーの監視、トラブル対応サーバー会社からの通知を確認0
サーバーのセキュリティ費用WAF、Web改ざん検知を利用2500※2
ドメイン費用ドメイン販売会社と契約5000※3
SSL費用SSL認証企業と契約30000
CMSなどのツール費用とメンテナンス費用商用CMSを利用5000
■コンテンツ更新
ページ更新ページ更新4回20000
アクセス解析定型レポートと改善策の提案15000
サイト改修レポートに対する改修業務都度見積もり

※1参考価格(本来は従量課金のためトラフィックと転送容量による

※2参考価格(本来は従量課金のためトラフィックと転送容量、ページ数による

※3.co.jpドメインの場合を想定

合計 48,000円程度/月

メリット:ある一定のセキュリティは担保できる。コンテンツ更新が依頼可能

デメリット:イレギュラーの更新やトラブル対応が見込んでいないため、対応時には別途予算が必要となる。

月10万円以上

トラフィック多かったら上場企業で高いセキュリティ基準をクリアしなければならない場合など

こちらのように10万以上の管理費が必要なケースは、基本的にオーダーメードで管理体制を構築することになるため一定の形はなく、各種ベンダーの提案を受けながら決定していく必要があります。

例として、トラフィックが多く、セキュリティ基準が高く求められる場合の見積もり例を紹介します。

見積もり項目使用するサービス単位単価
サーバーレンタル費用クラウドサーバー50000※1
サーバーの監視、トラブル対応有人監視(24時間365日)200,000
サーバーのセキュリティ費用WAF、Web改ざん検知、セキュリティソフトを利用100000※2
ドメイン費用ドメイン販売会社と契約5000※3
SSL費用企業認証SSL認証企業と契約70,000
CMSなどのツール費用とメンテナンス費用商用CMSを利用500,000
■コンテンツ更新
ページ更新ページ更新1人月700,000
アクセス解析定型レポートと改善策の提案50,000
サイト改修レポートに対する改修業務都度見積もり200,000

※1参考価格(本来は従量課金のためトラフィックと転送容量による

※2参考価格(本来は従量課金のためトラフィックと転送容量、ページ数による

※3.co.jpドメインの場合を想定

合計 1,700,000円(管理コスト75万円程度、運用コスト95万円程度想定)

メリット:全ての項目で高トラフィックに対応でき、更新も頻繁

実施でき、突発的なトラブルにも対応できる体制が一定とれる。

デメリット:とくになし

まとめ

Webサイトの運用は費用がかかるものですが、どの項目がどの役割を担っているのか。また管理費用や運用費用の相場を理解して、運営しているサイトに適した予算計画を立案し運用環境を構築することが投資対効果の高いサイト運用を実現するポイントです。

こちらの記事の内容を理解し改善に役立ててもらえれば幸いです。

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