サイトリニューアル公開作業のガイドーチェックリストからトラブルシューティングまで

サイトリニューアルにおいて企画から開発、テストまで実行してきた後、最後の作業がサイトの公開作業になります。ファイルを公開するだけと考えがちですが、それだけにはとどまりません。
特に中規模以上のサイトまたは、システムを利用しているサイトは様々な注意事項があります。正しいステップを踏まずに公開すると、サイトがクラッシュする、最悪の場合復旧不可能になるなどの、事故を引き起こす場合があります。

本記事では、それらの事故を防ぐことを目標に、公開の流れと注意ポイントを紹介します。

目次

リニューアルサイト公開の手順

以下にサイトのテストが終了以降の公開作業の流れを紹介します。

公開手法の決定

まずはサイトの公開手法を決定します。サイトの公開は、主に二つの方法がありますのでこの二つに絞って紹介します。一つ目は、現行のサーバーをそのまま利用して更新を行う方法です。この場合、リニューアル作業は同じサーバー上で行われ、作業が完了次第公開されます。二つ目は、新たにサーバーを用意し、完全に新しい環境でサイトを構築した後、DNS設定を切り替えて新サーバーへのアクセスを有効にする方法です。

どちらの方法を選ぶかは、サイトの規模、リニューアルの内容、予算、時間等、様々な要因によります。現行のサーバーをそのまま利用する方法は、作業が比較的簡単で、費用もあまりかからないため、小規模なサイトや短期間でのリニューアルに向いています。一方、新たにサーバーを用意する方法は、リニューアル作業が現行のサイトの運用に影響を及ぼさず、また、新旧のサイトを同時に運用してテストすることが可能なため、大規模なサイトや大幅なリニューアルに向いています。

リニューアル後サイトの最新化(本番化準備)

サイトの公開前には、全てのコンテンツが最新であり、また最適な状態であることを確認する必要があります。特にリニューアルぎりぎりまで、旧サイトの更新が必要なサイトに関しては、一定期間のメンテンナンス期間を設定するなどが必要になります。

その中の具体的な作業は、以下の内容が含まれます。

  • 最新のコンテンツ(テキスト、画像、ビデオなど)のアップロード
  • 不要なデバッグコードやテストデータの削除
  • サイトの設定(SEO設定、パフォーマンス設定など)の最終確認と調整
  • サーバーの設定(セキュリティ設定、キャッシュ設定など)の最終確認と調整

これらの作業は、サイトが最良のパフォーマンスを発揮し、また、ユーザーに対して最高のエクスペリエンスを提供するために必要です。

公開作業

以下に実際の公開業務の紹介です。先に説明した同じサーバーを利用してリニューアルを実施するパターンと、新たなサーバーを用意してそちらにDNSを切り替えるパターに分けて記載しますので、先に決定した公開方法より、作業内容を抑えてください。

公開作業(現行のサーバーをそのまま利用する方法)

現行のサーバーをそのまま利用して公開する場合、以下の手順を通じて作業を行います。

  1. サイトのリニューアル作業を現行のサーバー上で行います。
  2. リニューアル作業が完了したら、公開前の最終チェックを行います。
  3. 問題がなければ、リニューアルしたサイトを公開します。

この方法は、作業が比較的簡単で、公開までの時間も短いという利点があります。しかし、リニューアル作業中は現行のサイトに影響が出る可能性があり、また、公開前に十分なテストを行うことが難しいという欠点もあります。

公開手順(サーバーを入れ替え、DNSを切り替える方法)

新たにサーバーを用意し、DNS設定を切り替えて公開する場合、以下の手順を通じて作業を行います。

  1. 新たにサーバーを用意し、そこでサイトのリニューアル作業を行います。
  2. リニューアル作業が完了したら、公開前の最終チェックを行います。
  3. 問題がなければ、DNS設定を切り替えて新サーバーへのアクセスを有効にし、リニューアルしたサイトを公開します。

この方法は、リニューアル作業が現行のサイトに影響を与えず、公開前に十分なテストを行うことが可能という利点があります。しかし、新たにサーバーを用意する必要があるため、コストや時間がかかるという欠点もあります。

よくあるトラブル

ウェブサイトの公開作業中には、予期しない問題やトラブルが生じることがあります。以下に、一般的に起こりうる問題と、その解決方法をいくつか紹介します。

  1. DNSの切り替えに失敗する: DNSの設定を新しいサーバーに切り替える際に、DNSの伝播(更新情報が全世界のDNSサーバーに広まること)に時間がかかるため、一時的にサイトが表示されないという問題が発生することがあります。これは、全てのユーザーが新しいサーバーにアクセスできるようになるまで待つしかありません。伝播時間は、通常数時間から72時間程度とされています。この期間中はユーザーに対して適切な情報提供を行いましょう。
  2. リダイレクトループが発生する: 旧サイトから新サイトへのリダイレクト設定が不適切な場合、ユーザーがエンドレスにリダイレクトループに陥るという問題が起こります。これは、.htaccessやweb.configなどの設定ファイルを見直すことで修正可能です。
  3. 新しいサイトが検索エンジンにインデックスされない: 新しいサイトがGoogleやBingといった検索エンジンに正しくインデックスされないと、検索結果に表示されなくなります。これは、サーチコンソールを利用してサイトのURLを手動で送信し、インデックスを要求することで解消できます。また、サイトマップの提出も忘れないようにしましょう。
  4. サイトのパフォーマンスが低下する: 公開後にサイトのパフォーマンスが低下することもあります。これは、新しいサイトの最適化が不十分であるか、サーバーが負荷に耐えられていない可能性があります。サイトのパフォーマンス分析ツールを用いて原因を特定し、適切な対策を行いましょう。

以上のように、ウェブサイトの公開は一見単純な作業のように見えても、多くの問題が生じる可能性があります。公開作業を進める前には、可能な問題とその対処法について十分に理解しておくことが重要です。

まとめ

サイトリニューアルの公開作業は、一見単純ながらも注意が必要な作業の一つです。サイトの公開前の最終チェックから、公開手法の決定、具体的な公開手順、公開後の作業、そして公開中のトラブルシューティングまで、多くのステップが必要となります。これらのステップはすべて、スムーズな公開作業と、ユーザーにとって最適なサイト体験を提供するためのものです。公開作業に際しては、このガイドを参考に、全ての工程を丁寧に行ってください。

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