CMS選定の全て:失敗しないための検討事項

目次

CMSの選定が重要な理由

CMSの選定は、ビジネスのデジタルマーケティング戦略を形成し、成功を引き寄せるための重要な工程です。手順を踏み、CMSの知識を得て、正しい選定ができれば以下のような効果が期待できます。

マーケティング的な効果

  1. 一貫したUIによるコンテンツ提供: 適切なCMSを選定することで、一貫したユーザーインターフェイス(UI)を通じてコンテンツを提供することが可能になります。これにより、ユーザー体験(UX)が向上し、ブランドの認識度や信頼性を高めることができます。
  2. 適切なUXの提供: CMSに組み込まれたマーケティングオートメーション(MA)機能を活用すると、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上がさらに容易になります。これにより、個々のユーザーに最適化されたコンテンツを提供し、ユーザーエンゲージメントを向上させることができます。
  3. 埋蔵されていたコンテンツ有効活用の促進: CMSは既存のコンテンツを簡単に検索し、再利用する機能を提供します。これにより、埋もれていた価値あるコンテンツを有効活用し、コンテンツ作成の労力と時間を削減することが可能になります。
  4. 外部ツールとの連携促進: CMSは様々な外部ツールとの連携が可能です。これにより、社内システムやマーケティングツールとのデータ連携を実現し、ビジネスの効率と効果を高めることができます。

コスト削減効果

  1. コンテンツ開発コストの低減: CMSを適切に選定し導入することで、コンテンツ作成や管理の手間を大幅に削減できます。これにより、コンテンツ開発コストが低減されます。
  2. 運営コストの低減: CMSはウェブサイトの運営コストを削減します。例えば、一度に多くのコンテンツを簡単に更新したり、複数のユーザーが同時に作業を行うことが可能になるなど、作業効率が大幅に向上します。
  3. メンテナンスコストの削減: CMSは、ウェブサイトのメンテナンス作業を効率化し、必要な作業時間とコストを削減します。CMSにより、定期的なセキュリティ更新や機能追加を迅速かつ効果的に行うことができます。

これらの理由から、CMSの選定はビジネスのオンラインプレゼンスを強化し、コスト削減を実現するための重要なステップとなります。

選定を始める前の基本

CMS選定にあたり、事前に明確にしておくべき項目があります。これらの要素を具体的に把握し、明確化することで、より適切なCMSを選び出し、投資の最大化を図ることができます。逆に明確になっていないと、機能の過不足が発生し、想定していたアセットの連携に過剰なコストが必要になるといった事態を引き起こします。まず、その項目をご紹介します。これらを解し、具体的なCMSの選定に進みましょう。

  1. 目的の明確化: CMSの選定は、ビジネスの目標に対して何を達成しようとしているのか、何が期待されるのかを具体的に明確にすることから始まります。これは、ウェブサイトがどのような機能を持つべきか、どのようなUXを提供するべきか、そのためにどのようなコンテンツやサービスを配信するべきかといった具体的な要件を理解することを含みます。これらを明確にすることで、適切なCMSを選定するための基準を設定することができます。
  2. 現状課題の明確化: 現行のウェブサイトの運用において抱えている課題や困難を明らかにすることも、CMS選定の重要な部分です。例えば、現行のウェブサイトの管理や更新が難しい、コンテンツの制作・配信が効率的でないといった問題があるかもしれません。これらの課題を理解し、改善すべきポイントを特定することで、適切な機能とパフォーマンスを備えたCMSを選定することが可能となります。
  3. ビジネスコンテキスト、プロジェクトの背景と制約条件の明確化: CMSの選定は、そのプロジェクトの背景を考慮する必要があります。具体的には、企業の業務フローや組織文化、業務の規模や複雑さなどの事情を理解し、それらがCMSの要件にどのように影響するかを考慮します。また、システム基盤の条件や予算などの制約条件も重要な考慮点です。これらの要素を明確にすることで、選定するCMSがビジネスの要件を満たし、かつ制約条件内で適用可能なものであることを確認できます。

これらを事前準備をまとめたうえで、次にCMSの基本選定要素を見ていきましょう。

CMS選定の主要ポイント

CMSの選定を行う際には、考慮すべき基本要素がいくつかあります。我々は選定のための基本項目として、以下の三つのカテゴリーとして考えています。

それは、サイト規模、予算、そして最も根本的な要素である必要機能の三つとなります。この三つのカテゴリーをもとに、その詳細項目についてもあわせてご紹介していきます。

サイト規模

ウェブサイトの規模はCMS選定における重要な要素です。サイト規模は、ウェブサイトが持つページの量、利用者の数、コンテンツの多様性、およびそれらを管理するための機能要件など、CMS選定に影響を与える多くの要素を含みます。

規模が大きいウェブサイトでは、通常、多数のユーザーが同時にアクセスしたり、大量のコンテンツを処理したりする能力が求められます。これは、CMSが扱うデータの量が増えるため、パフォーマンスやセキュリティの要件が増大し、それに対応するための高度な機能や設定が必要になることを意味します。

さらに、規模が大きいウェブサイトでは、多様なタイプのコンテンツを扱う可能性があります。例えば、ブログ記事、ニュース記事、製品情報、カスタマーサポート情報、されにはそれらのグローバル対応など、それぞれ異なるレイアウトや管理要件を持つ可能性があります。これらの異なるコンテンツタイプを効果的に管理するには、CMSが柔軟性とカスタマイズ性を持っていることが重要です。

以上のような要素から、サイト規模はCMSの選定に大きな影響を与えます。そのため、CMSを選定する際には、あなたのウェブサイトの規模とその成長を予測し、それに見合ったCMSを選ぶことが重要です。

構築予算と運用予算

予算はCMS選定において一つの主要な制約条件となります。そして、その予算設定の方法はビジネス目標を達成するための戦略的な要素となるべきです。

予算の決定に当たっては、構築予算と運用予算の二つが基本となります。構築予算はCMSの導入や設定、初期設定にかかるコストを、運用予算はCMSの日常的な使用やメンテナンスにかかるコストを表します。これらの予算は、それぞれ別々に設定し、管理することが重要です。そのなかで、予算はマーケティング力向上や継続的なコスト削減効果も考慮に入れて決定されるべきです。例えば、CMSが提供する特定の機能がマーケティングの効果を向上させる場合、その機能を有効に活用するためのコストが追加で必要になるかもしれません。一方、CMSの効率的な運用により、長期的にコスト削減が見込まれる場合もあります。

しかし、予算はしばしば機能のトレードオフとなります。したがって、特定の機能に必要な予算とその想定される効果を検討し、相互に影響を見ながら設定していく必要があります。このプロセスは、あなたが必要とする機能とその価値を正確に理解し、最適なバランスを見つけることを可能にします。

CMSライセンスに関する費用形態

予算にかかわる項目としてCMSの利用料があります。これらの基本理解は予算作成の基礎知識として必要なため、こちらのセクションでパッケージ型ライセンスとクラウド版費用の違いを参考として記しておきますので、参考にしてください。

パッケージライセンス型:一般的には一定のライセンス費用を初めに支払い、その後は年間メンテナンス費用が必要となる形態です。特徴としては、メリットとして自社のサーバーにインストールして利用するため、データの管理やセキュリティに対するコントロールが強く、カスタマイズの自由度が高いという点があります。しかし、デメリットとしてシステムのセットアップや保守、アップグレード等は自社で行う、または、都度外部ベンダーに依頼する必要があります。

クラウド型:サービスを提供する企業がホスティングとメンテナンスを行う形態で、通常は月額または年額の使用料を支払います。場合によっては使用量による従量課金の形態がとられる場合もあります。クラウド型の特徴としては、メリットは初期投資が少なく、すぐに利用開始が可能であるという点があります。また、システムの更新や保守を提供企業が行うため、運用の手間が少ないという利点があります。しかし、デメリットはデータの管理やセキュリティに対するコントロールは提供企業に依存する部分が大きく、カスタマイズの自由度はパッケージライセンス型に比べて制限される場合があります。

CMSの基本的な仕組みと機能

CMSを選ぶ上で、その機能は重要な選定基準となります。CMSを選定する際の鍵となるのが、CMSの基本機能が自社の要件とどれほど一致しているか、また必要な機能が欠けていないかを把握することです。

基本的に、コンテンツ管理、ユーザー管理、SEO対応、メディア管理、権限設定などのCMSの核となる機能は、おおむね基本的なCMSには実装されている、又はプラグイン導入などの実装でできることでしょう。万が一、基礎的な機能において自社の要件を満たさない場合、そのCMSは選定対象から外すべきでしょう。これは、欠けている基本機能を補うためのカスタマイズや追加開発はコストと時間がかかりますし、最悪の場合はCMSの全体的な安定性やパフォーマンスを損なう可能性があるからです。

次に、基本機能を満たしているCMSが複数ある場合には、CMS独自の機能や拡張性を比較し、それが自社の特定のニーズや期待をどれほど満たしているかを評価します。CMSが提供する特殊な機能、例えば、マルチリンガル対応、アナリティクス機能、ソーシャルメディアとの統合などは、企業が競争力を保つために重要な要素となることがあります。

この2つの視点からの選定によって要件を満たすCMSの中から、特定のニーズや期待を最もよく満たすCMSを選択することで、最適な選定が可能となります。

以下は具体的に検討されやすい機能とその内容についてご紹介していきます。

動的CMSか静的CMSか?

CMS(コンテンツ管理システム)は基本的に、動的CMSと静的CMSの2つの主要なタイプに分けることができます。これはウェブサイトのコンテンツがどのように生成・配信されるかによって区別されます。

この違いはCMSの根本であるため、その種類により実現できる要件や、管理の複雑さ、社内でメンテナンスするスキルがあるかなどに影響します。そのため最初に検討されることが多い項目となります。

以下では、それぞれの特徴とメリットとデメリットを一覧にまとめていますので参考にしてください。

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動的CMS静的CMS
特徴コンテンツはリアルタイムで生成・更新され、データベースから直接取得されます。ユーザーの行動や選択に基づいてページ内容が動的に変わることができます。コンテンツは事前に生成され、静的HTMLファイルとしてサーバーに保存されます。ユーザーがページをリクエストすると、すでに作成されたHTMLページが送信されます。
メリットリッチなユーザー体験を提供できます(例えば、ユーザーの互動性やパーソナライズされたコンテンツ)。ページの事前の生成が不要なため大量のコンテンツの一元管理に適する。
ページの事前生成が不要なので頻繁なコンテンツ更新に向いている。
事前にページが生成されているためサーバーへの負荷が少なく、一般的には高速なページロードを提供します。セキュリティリスクが低いとされています(攻撃を受けやすいデータベースがない)。
デメリットサーバーへの負荷が高い場合があります(特にトラフィックが高いサイト)。動的処理部分が多くなるとメンテナンスやセキュリティ対策が必要な場合があります。生成するファイルが多くなるとコンテンツの更新に手間がかかることがあります(特に、サイトが大規模で多くのページを含む場合)。フロントエンド部分では動的CMSほど柔軟なカスタマイズが難しい場合があります。
動的、静的CMSのメリットとデメリット

CMSの利用方法(オープンソースまたは商用パッケージ、クラウド)

CMSは、オープンソース、商用パッケージ、クラウドという3つの主な提供方法があります。これらの選定も重要は項目となります。これらはそれぞれの特性、メリットとデメリットがあり、その選定は自社が構築するシステム全体のアーキテクチャに影響を与え、長期的な拡張性、改善作業にかかわってくるため正しく理解し慎重に選択する必要があります。

※現在多くのCMSがそのメンテナンス性や拡張性などを見越しクラウド化しています。

以下にCMSの種類別に特性とそのメリットとデメリットを表にまとめていますので参考にしてください。

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CMSの種類特性メリットデメリット
オープンソースCMSソースコードが公開されていて、自由に改変や再配布が可能初期コストやライセンス費用が不要 設置環境などは自社で用意できる場合もあることから内部や外部システムの連携と図りやすくなる可能性がある。設定やカスタマイズ、メンテナンスに専門的な知識が必要 脆弱性対応などは自社での対応多必須
商用パッケージCMS有料のCMSで、特定の企業が開発とサポートを行っている全面的なサポートや定期的な更新が提供される、一般的に多機能 設置環境などは自社で用意できる場合もあることから内部や外部システムの連携と図りやすくなる可能性がある。初期コストやライセンス費用が発生する
クラウドCMSインターネットを通じて提供され、ユーザーはインフラやメンテナンスを気にせずにサービスを利用できるサーバーやデータベースの設定を気にすることなく、すぐにCMSを使用できる長期的には費用が高くなる可能性がある 外部システムとの連携にカスタマイズができない場合がある。
CMS種別

国内の主たるCMSが「動的、静的か」「そのCMSの提供方法」「概ねのライセンス費用」「適したサイト規模」をまとめた表を作成しています。ご参考にしてみてください。

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システム提供種別出力方式MA機能導入実績対象サイト規模費用URL
オープンソース商用パッケージ型クラウド型ウェブサービス型動的静的https://ja.wordpress.org/
WordPr​​ess※プラグインで静的出力も可能全世界ウェブサイト43.1%(2023)小〜中規模無償https://www.sixapart.jp/movabletype/
Movable Type
※MovableType.net
国内50,000サイト以上小〜中規模MovableType.net:2,500円〜/月

◆ソフトウェア
 └Movable Type:90,000円(初年度メンテナンス含む・次年度以降30,000円)
 └Movable Type Advanced:1,200,000円

◆クラウド:月額5,000円〜

◆AMI:0.07ドル/時間 499ドル/年
https://basixs.com/times/columns/how-to-select-cms
PowerCMS国内3,000サイト以上中規模PowerCMS:330,000円~
PowerCMSクラウド:初期費用660,000円~/月額33,000円~
https://www.powercms.jp/
RCMS4,000社以上中規模◆SaaS型(クラウド)
 └初期費用:44,000円~ 月額利用料:11,000円~

◆仮想専用サーバプラン
 └初期費用:88,000円~ 月額利用料:55,000円~

◆オンプレミス提供プラン
 └初期費用:1,595,000円 ソフトウェアサポート料:275,000円/年間
https://www.r-cms.jp/
Blue Monkey2,100社以上ライセンス価格:3万円/月~https://bluemonkey.jp/
WebRelease2900社以上中〜大規模Enterprise Edition:3,300,000円
Workgroup Edition:550,000円(ページ数制限500ページ以内)
https://www.frameworks.co.jp/
NOREN810社以上要問合せhttps://noren.ashisuto.co.jp/
HeartCore国内791社以上中〜大規模要問合せhttps://www.heartcore.co.jp/
Adobe Experience Manager Site大規模要問合せ
TeamSite全世界10,000サイト以上大規模要問合せhttps://www.opentext.com/ja-jp/products/content-management-system
ShareWith230社以上中規模◆コンパクト
 └初期費用:75万円~
 └月額費用:12万円~

◆スタンダード
 └初期費用:100万円~(非上場企業)、150万円~(上場企業)
 └月額費用:14万8千円~(非上場企業)、16万8千円~(上場企業)

◆レジリエンス
 └初期費用:280万円~
 └月額費用:24万8千円~
https://www.share-with.info/jp/index.html
concrete5小〜中規模無償https://concrete5-japan.org/
HubSpot全世界ウェブサイト0.2%(2023)小〜中規模0円/月(無料ツール)~https://www.hubspot.jp/products/cms
baserCMS※プラグインで静的出力も可能小〜中規模無償
Drupal全世界ウェブサイト1.2%(2023)中〜大規模無償http://drupal.jp/
Sitecore大規模要問合せhttps://www.sitecore.com/ja-jp
ジンドゥー全世界ウェブサイト0.2%(2023)
3200 万サイト以上
小規模GROW:1,590/月
START:990/月
PLAY:0/月
https://www.jimdo.com/jp/
Wix全世界ウェブサイト2.4%(2023)小〜中規模ベーシック:900円/ 月 などhttps://ja.wix.com/
STUDIO小規模Starter:980円/月 などhttps://studio.design/ja/
ペライチ小規模ライトプラン:1,465円/月~https://peraichi.com/
国内で利用される主要CMSの特徴一覧

※参照 W3Techs-Usage statistics of content management systems

あわせて読みたい
Usage Statistics and Market Share of Content Management Systems, November 2024 What are the most popular content management systems

その他標準的来なCMS機能

以下に一般的にCMSに組み込まれている機能やプラグインをつかって容易に追加できる機能の主たるものを紹介します。これらの中に自社で必須となっている機能がない場合、もしくは実装に高コストの場合は選定から外すなどの検討が必要になります。

機能説明
コンテンツ管理テキスト、画像、ビデオなどのコンテンツを作成、編集、公開、アーカイブするための機能。
ユーザー管理ユーザーのアカウントを作成、編集、削除するための機能。ロールや権限の設定も可能。
テンプレート管理サイトの見た目をコントロールするためのテンプレートやテーマを管理する機能。
SEO対策タイトルタグ、メタディスクリプション、URL構造の最適化など、SEO対策を支援する機能。
レスポンシブデザインPC、タブレット、スマートフォンなど異なるデバイスに対応した表示を実現する機能。
フォーム管理問い合わせフォームや登録フォームなど、各種フォームの作成と管理を行う機能。
ブログ機能ブログ記事の作成、編集、公開を行う機能。タグ付けやカテゴリ分けなども可能。
ソーシャルメディア統合ソーシャルメディアへの投稿やシェア、コメント表示などを容易にする機能。
ワークフロー管理コンテンツの承認フローを管理し、複数人での作業をスムーズにする機能。
マルチ言語対応複数の言語でのコンテンツ管理を可能にする機能。
アクセス解析サイトのアクセス状況を分析するためのツールとの統合機能。
セキュリティ機能スパム対策、不正アクセス防止、SSL対応などのセキュリティ対策機能。
標準的なCMSの機能

CMS選定に影響を与える追加ポイント

今までは選定ポイントとして「サイト規模」「予算」と、「CMSと根幹となる特徴や、基本となる機能」について説明してきました。このセクションは基本として外しましたが、それでも重要な選定に影響を与える項目を紹介します。

運営リソース

CMSの選定には、運営リソースの観点からも考慮すべき要素があります。企業が自社でウェブサイトを運営する際、そのチームのスキルセットや人員状況はCMSの選定を大いに左右します。

運営者のスキルレベルとCMSの選択

CMSの操作性は、運営者のスキルレベルによって異なる感じ方となります。初心者向けのCMSでは直感的なインターフェースや充実したヘルプ機能が提供されている一方で、エンジニア向けのCMSではプログラム言語に精通していることを前提とした複雑な設定やカスタマイズが可能です。

そのため、運営者のスキルレベルに応じて適切なCMSを選択することが求められます。運営チームが初心者ばかりであれば、使いやすさを重視したCMSの選択が理想的でしょう。逆に、スキルの高いエンジニアがチームにいる場合は、自由度の高いCMSを選ぶことで、高度なカスタマイズや最適化が可能となります。

専門のエンジニアや外部ベンダーの必要性

CMSの種類によっては、その運用や保守に専門のエンジニアが必要となる場合があります。例えば、オープンソースのCMSでは、自社でシステムをカスタマイズしたり、問題が発生した場合の対応を自社で行うことが前提となります。

このようなCMSを選択する場合、内部に専門知識を持つエンジニアがいないと、システムの運用が難しくなる可能性があります。その場合、外部の専門ベンダーに依頼することになりますが、そのコストも予算に計上する必要があります。

運営リソースはCMS選定における重要なファクターであり、これらの点を考慮しながら最適なCMSを選ぶことが求められます。

MA・SFA・CRMツールといった外部連携

CMSの選定においては、他のマーケティングツールやビジネスシステムとの連携性も重要な考慮ポイントとなります。特にMA(マーケティングオートメーション)、SFA(営業支援)、CRM(顧客管理)といったツールは、ウェブサイトの運営と密接に関わるため、その連携性が問われます。既に企業が使用しているMAツールやCRMツールがある場合、それらとの連携をスムーズに行うことができるCMSを選ぶことが理想的です。

非機能要件

CMS選定における考慮点は、目に見える機能だけではなく、”非機能要件”と呼ばれる部分も重要となります。非機能要件とは、システムが持つべき品質属性や制約などを指します。以下に、CMSの非機能要件として特に重要なものをいくつか紹介します。

  1. パフォーマンス: サイトのレスポンス速度や処理能力が求められます。特に大規模なサイトであればあるほど、この要件は重要となります。
  2. 安全性: サイトが不正アクセスやデータ漏洩から適切に保護されているかどうか、セキュリティ対策が必要です。
  3. 信頼性: サイトが24時間365日、中断なく稼働しているか、また故障時に速やかに復旧できるかどうかなど、システムの信頼性が求められます。
  4. 拡張性: 今後のビジネス拡大や機能追加を見越して、システムが容易に拡張できるかどうかが重要です。
  5. 運用性: システムの運用・保守が容易で、障害が起きたときの対応や定期的なメンテナンスがしやすいかどうかです。
  6. 移植性: 異なる環境にシステムを移植することが容易かどうか。これは、例えばクラウド環境からオンプレミス環境への移行などを考慮する場合に重要となります。

以上のような非機能要件を満たすCMSを選ぶことで、安定したウェブサイトの運用と効率的なシステム管理が可能となります。

まとめ

CMSの選定は、サイト運用の成功を左右する重要なプロセスです。目的の明確化、ビジネス環境の理解、サイト規模と予算の把握、必要機能と非機能要件の確認、そして運用リソースと外部連携の考慮が基本的なステップとなります。これらを踏まえ、適切なCMSを選定することで、マーケティング効果の向上とコスト削減を実現することが可能となります。自社の要件に最も適したCMSを選び、効果的なウェブサイト運用を実現しましょう。

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